2017/10/04

中秋の名月:月の地形・地質について

 

仲秋にはきれいな丸い月が観察されますが,縁側やベランダでお月見をしたり団子やおはぎを食べられる方もいらっしゃると思います。今回は天体望遠鏡で月の写真を撮影したので,月の地形・地質などについて解説してみたいと思います。

写真_月
下関市でみられた中秋の名月(2017/10/04)



月の地形と地質


写真_月
反射望遠鏡で撮影した中秋の名月(2017/10/04)


月面の明るく白い部分には高地が分布しており,暗い海の部分に対して「陸」と呼ばれています。明るいのは海の部分よりも起伏に富み地球に届く太陽の反射光の密度が高いためです。斑糲岩や斜長岩などの組成を有する岩石が分布し,これらは月の形成初期の溶融状態から鉱物が重力によって分化して生成された岩石です。月の高地の岩石の年齢は45億~38億年で,地球の誕生が46億年前ですので,1億年ほどの間,地球と同様に隕石の衝突エネルギーによって溶融したマグマオーシャンに覆われていたと考えられます。38億年前までは隕石の頻繁な衝突によりクレーターが数多く形成され,地球も月の高地と同じくらいにクレーターの密度が高かったことでしょう。地球では水や大気が十分にあり火成・風化・浸食・堆積作用などで当時のクレーターや衝突で破砕混合された岩石は残っていませんが,月の高地の大部分にはこの破砕混合でできたポリミクト角礫岩が分布しています。


月面の暗い部分は海と呼ばれますが,玄武岩質の溶岩流が冷却して形成されたものです。玄武岩は粘性が低いため平坦になりやすく,黒っぽい岩石ですので太陽光の反射能(アルベド)が低いために暗く見えます。この玄武岩は月の内部から流れ出た溶岩ですので,年代は39億~32億年前後と高地の部分よりも若く,クレーターが少ないのはそのためです。


月面にも隕石の衝突で破砕された岩石や溶融ガラス,溶結した土からなるレゴリスソイルと呼ばれる表土があります。
















































































































































































































































































0 件のコメント: