2017/07/02

山口県下関市の四王司山麓での熊の出没および四王司山の歴史に関して


下関市内では15年以上前,菊川町上田部のあたりで熊が目撃されたという注意書きの記された古めかしい看板を見たことがありましたので,以前から熊がいるということは認識していましたが実感がありませんでした。今年の2017年5月に下関市長府松小田の四王司山の麓で熊が目撃され新聞に目撃情報が掲載されました。6月にも,四王司山北麓で熊を自ら目撃しました。今回は,熊の目撃や注意喚起について四王司山の地質や歴史なども交えて解説します。



写真_山
下関市長府,四王司山の遠景




熊の目撃情報

警察に通報があったのか,熊が目撃された5月6日の翌日7日の新聞に,目撃情報が載っていました。

長府松小田南町で,長成中学校の北側の団地の辺りだと思います。四王司山の南東側の登山口の近くですので,かなり登山客の多い山塊に熊がいるということになります。他にも調べてみると,2016年11月にもすでに四王司山の中腹でさらに大きな熊と出くわした方がいらっしゃるようです。



写真_新聞記事
熊の目撃情報が掲載された記事(2017.05.07)


四王司山とは

四王司山(しおうじやま)は,山頂の四王司神社などを参拝する登山者がほとんどで,運動目的で登る方も多いのではないでしょうか。登山道(参道)を往復すると,たいてい4~5人とすれ違います。

四王司山は,その展望所から関門海峡や,周防灘に浮かぶ忌宮神社の飛地境内である満珠・干珠,さらに,木屋川河口を中心に広がり千鳥などの渡り鳥が訪れる広大な干潟などを見下ろせる標高392mの山で,展望所付近の足元には約9400万年前の中生代の後期白亜紀に貫入してきた花崗岩が露出しています。これは山頂付近を構成する細粒花崗岩です。四王司山南東側の山麓から山腹,豊浦高校付近の海岸にかけてはより粗粒の典型的な花崗岩が分布しています。

条件がよければ,周防灘の向こうに中部九州の国東半島の更新世両子火山群から西側へ連なる新生代新第三紀の後期中新世(約660万年前)~鮮新世に噴出した火山岩類から主に形成される山並みを見渡すことができます。


四王司山の歴史は古く,660年に中国の唐によって滅ぼされた半島の百済(くだら)の遺民を救済するために倭国が軍を派遣して戦い,唐・新羅連合軍に敗れた663年の白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)の後,朝廷が唐・新羅の侵攻に備えて北部九州から瀬戸内海沿いの山々に数多くの山城を築いていて,それらのうちの長門の城として,瀬戸内海侵入を防ぐため関門海峡を見下ろせる長府の唐櫃山(からうとやま)や四王司山などが含まれるという説があります。

四王司の四王とは,四天王,すなわち持国天,増長天,広目天,多聞天のことで,清和天皇が各地の山々に祀ったといわれる四天王像のうち,四王司山頂の四王司神社の祠には貞観9年(867年)に祀られた多聞天(毘沙門天)像が安置されているようです。これは東日本大震災の時の大津波をしのぐ貞観の大津波をもたらした貞観地震の2年前のことです。

四天王像の安置目的は,四天王の威力によって,当時,朝鮮半島の大部分を統一していた新羅から国を守護し,制圧するという名目で,響灘と関門海峡を眺望して,新羅海賊を監視するのにこの山が選ばれたようです。当時,山頂付近の木は伐採されていたか,高い櫓が建てられていたのかもしれません。このとき,新羅など脅威ではなく地方の勢力を外へ向けさせるための策略にすぎなかったといわれています。白村江の戦いは新羅とではなく唐との戦いであったといわれています。







四王司神社では正月には毘沙門天のお祭りで初寅参りがあり,午前0時でも登頂する参拝客も多いです。


写真_虎の張り子
張り子の虎



四王司山の北麓にも熊

今年,6月の正午頃に四王司山の北麓を走る道路で,中央霊園を南に抜けた辺りを,真っ黒い体色の大きな熊が東側へ走って渡っているところを目撃しました。イノシシやシカの体色は茶色く見慣れていますので間違いないと思います。


山に異変が起きている

熊は気候の温暖化で冬眠ができなくなり餌を求めて分布を広げているといった原因が考えられます。各地でイノシシやシカ,サルまでもが住宅地まで出てくることが増えているからです。縄張り争いです。


クマよけの鈴は効果がない?

クマを遠ざける目的で携帯する熊よけの鈴というのがありますが,今年の5月29日の21時24分頃のNHK総合テレビのNews Watch 9で,秋田県で被害が出て,この鈴で対策をしていても効果がないとの報道がありました。






専門家によると,熊がいそうな危険だといわれる山への立ち入りは自粛してほしい,鈴よりも人の声が効果的で,もし山に入る場合は,複数の人数で声を上げながら行動すべき,との内容でした。確かに,1人では危険ですので,そうすべきですね。 熊は侮らないほうが良いです。 熊に遭遇した場合は,目をそらしたとたんに襲いかかってくるようですので,決して目をそらさずにそっとゆっくり後ずさりするのが良いのかもしれません。































































































































































































































































































































































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