2020/11/23

畑の大根の葉を暴食する幼虫;カブラハバチとは,下関市


晩秋に大根が太ってくると現れるカブラハバチ(蕪葉蜂)ですが,チョウの幼虫のように見えて実は蜂の幼虫だったという意外性のある昆虫を写真で紹介したいと思います。

写真_昆虫
大根の葉に群がったカブラハバチの幼虫(菜の黒虫)



カブラハバチ(蕪葉蜂)


カブラハバチAthalia rosae)は,英名でTurnip sawfly。turnip(ターニップ)とはカブ(蕪)のことです。sawflyはハバチ亜目のハチの総称で,ノコギリ(saw)のような産卵管をもったハエを意味しますが,もちろんハエではありませんから見かけでそう呼んだのでしょう。ノコギリ状の産卵管は植物組織に傷をつけ卵を産み付けやすくするために進化したのでしょう。
次の写真のようにカブラハバチの幼虫は,体長2㎝前後の黒~灰黒色をしたイモムシの様な幼虫で,アブラナ科の植物の葉を好んで摂食するといわれていますが,大根の葉には目がないようです。アブラナ科の雑草であるタネツケバナにもよく群がっていますが,近くにあるナズナにはなぜかついていません。

写真_昆虫
大根の葉を食べているカブラハバチの幼虫(11月下旬)


成虫は,体長8㎜ほどの小さく,次の写真のように細長いハエのような姿で,アブラナ科やセリ科の花の蜜を吸って生活しているそうです。

 
写真_昆虫
大根の葉にとまるカブラハバチの成虫(1月上旬)


ハバチの仲間はいつ頃からいた?

ハバチ亜目の蜂は,ジュラ紀以降出現したとされるハチ,スズメバチ,ジカバチの仲間よりも原始的でトリアス紀の初め頃には出現していたと考えられています。カブラハバチ属(Athalia)の化石は,アメリカ,コロラド州の古第三紀始新世末期(約3500万年前)の湖成層のFlorissant層から最古級のAthalia wheeleriが報告されています。アブラナ科の植物がその時代からあったのかといえば,記録は古くても第四紀(約10数万年前)までしか遡れず,草本植物のため化石になりにくかったと考えられます。

写真_昆虫
カブラハバチの成虫(12月末)































































































































































































































































































































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