8月になるとカイツブリの幼鳥は独り立ちの季節になります。7月くらいまで数羽の幼鳥と一緒に親鳥が連れ添っているのが観察されます。今回は,下関市でみられるカイツブリを写真で紹介します。
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沼池で泳ぐカイツブリの親子(7月中旬) |
カイツブリ(鳰)
カイツブリは,カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属の水鳥で,学名はTachybaptus ruficollis (Pallas, 1764)。日本には亜種のT. ruficollis poggei (Reichenow, 1902)が生息しています。英名でLittle grebe。
体長はキジバトよりも少し小柄で約25~30㎝ほどです。
クチバシの色は冬羽の時は淡黄色ですが,次の写真のように,夏羽の時は黒色をしています。ですので,夏はクチバシの先端と基部を除き黒色に変色するので,クチバシの根元が強調されて白っぽく見えます。
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夏羽のカイツブリの親子(7月中旬) |
川で独り立ちしたばかりのカイツブリの幼鳥が観察されました。
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独り立ちしたばかりのカイツブリの幼鳥(8月下旬) |
次の写真は,上の写真と同じ個体のようで,いつも同じ川で潜水をして採餌をしていました。すっかり成鳥らしい羽に生え換わりもう若鳥といえます。
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冬羽になりかけのカイツブリの若鳥(11月中旬) |
次の写真は冬羽に生え換わった先ほどの写真の親鳥でしょう。
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冬羽のカイツブリ(10月中旬) |
カイツブリは雛の時期には,次の写真のように背中に乗って過ごしています。7月を過ぎ時季外れですが,10月頃にも繁殖するようです。
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雛鳥を背に乗せたカイツブリの親子(10月中旬) |
カイツブリの最古の化石
カイツブリの化石は,カイツブリ属に比較される化石Cf. Tachybaptus sp.がインドネシアの東チモールの新生代後期更新世(12万6000年~1万1700年前)からみつかっているのみです。チモールには,現生亜種T. ruficollis vulcanorumが生息していますので,この先祖の化石なのかもしれません。
山口県でいうと,後期更新世の時代は川や海に堆積した段丘堆積物が代表的です。1万6000年前以降の縄文時代の地層も含みます。このような段丘堆積物には阿蘇カルデラからの阿蘇4火砕流堆積物やその時の噴煙から降下して堆積した阿蘇4火山灰,姶良カルデラからの噴煙から降下して堆積した姶良Tn火山灰などが含まれています。代表的な地層に,高位段丘面を形成する秋吉火山灰層(Aso-4)や低位段丘面(丸尾原面)を覆う宇部火山灰層(Aso-4)がありますが,断層活動に伴って形成されたと考えられている湖沼や河川に堆積した徳佐層は局所的な分布ですがよく研究されています。
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母鳥に寄り添うカイツブリの幼鳥(7月中旬) |
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