クワガタの仲間でもコクワガタやヒラタクワガタなどは山の近くであれば宅地にたまに飛来しますが,スジクワガタやミヤマクワガタなどは希少な存在です。中でもスジクワガタはゴミムシの仲間と似たものがあり,初めての方は見間違えるといったこともあるでしょう。今回,下関市小月北方の山中で初めて撮影したスジクワガタを紹介したいと思います。
スジクワガタ(条鍬形)
Dorcus (Macrodorcus) striatipennis
スジクワガタは,小さいオス個体やメス個体で上翅(鞘翅)に線条(スジ)があることでこの和名がつけられたようですが,ネブトクワガタやオオクワガタのメスの上翅にもスジがあります。
スジクワガタのメス(2007/07/29) |
スジクワガタの小型のオスとメスはよく似ていますが見分け方は大顎の長さや太さ,頭部の幅などに違いがあります。小型のオスの大顎は,メスと同じくらいでもやや細めです。というのもメスは産卵に備えて樹液を十分に摂取したり産卵の際に朽木を噛み砕いて穴を開けたりしますので大顎がそのために短く丈夫に発達していると考えられます。ニッチの争奪のためにオスの頭部の幅はメスよりもやや広く平べったくなり,大顎も長く発達する傾向があるといえるでしょう。
スジクワガタのメスの上翅の線条 |
スジクワガタはノコギリクワガタと同じように暑さに弱く涼しい場所を好みますので,分布が局所的で平野部ではなかなかみられないといった生態的特徴があります。スジクワガタはヒラタクワガタに近縁で越冬し寿命も2年と長いです。
オオクワガタ属(Dorcus)はいつ頃からいる?
クワガタムシ科の化石で最古級のものは中国の中期ジュラ紀Callovian期の地層からJuraesalusが報告されています。
オオクワガタ属では,今から約4500万年前のドイツの古第三紀の中期始新世前半のMessel層からAff. Dorcus sp.が報告されています。
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