下関市では晩秋,四王司山山塊の谷や沢沿いで,チャッ・チャッ・チャッ・チャッと鳥の鳴き声が聞こえ始めます。この鳥はミソサザイで,岩陰や茂みに身を隠しながら瞬く余裕のない速さで地表近くを飛び回ります。こういった点はウグイスと非常に類縁性が高いです。今回は,ミソサザイについて解説したいと思います。
竹林の谷のミソサザイの声が聞こえてきた場所(11中旬) |
ミソサザイ(鷦鷯)
ミソサザイ(Troglodytes troglodytes fumigatus)は,スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属の鳥で,英名はEurasian Wren。
ミソサザイ(1月下旬) |
ミソサザイが谷の低いところや溝の中,林下などに良くいるのは,他の鳥と食糧をめぐって争いが生じないよう餌場の使い分けをしているということです。木の根元など低いところで採餌していることが多いといわれますので,このような習性が遺伝的に染みついているのでしょう。先頭の写真のような薄暗い谷の茂みの中で鳴いていることも納得がいきます。
最初に見た時からどのような鳥なのか気になり,2017年末くらいにミソサザイがチャッ・チャッ・チャッと鳴くあとについて舌づつみで鳴きまねをしてみました。そうすると興味を持ったのか,近くの木まで様子を見に飛んできました。木の茂みの中におり体が小さく色が暗く目立ちません。ミソサザイとのやり取りを1度につき10回くらいを繰り返してみました。
地鳴きの1例
チャッチャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッ。
チャッチャッ。
チャッチャッチャッチャッ。
チャッチャッ。
チャッ。
2018年1月になり遠くから鳴き声が聞こえてきたので鳴きまねをしてみると,ミソサザイがじわじわと茂みに身を隠しながら近づき様子を見に飛んできました。その際,目の前に0.5秒ほどとまりチラッと見て右手のほうに飛んでいきました。姿を見せてくれたものの瞬間的でしたので,体色が茶色で体長が10㎝もない小さい鳥だということしかわかりませんでした。
2017年2月上旬に平地では見かけない黄色と黒の冠羽のあるミヤマホオジロが群れで飛来していたので観察していると,ミソサザイがまわりの騒々しさに便乗して姿を現したのかミヤマホオジロと一緒になって1分ほど上の写真のように竹の先にとまってくれました。
鳴きまねに呼応してもらうのは難しいですが,姿を見ると地鳴きをして知らせてくれることもあります。ミソサザイは2月頃からきれいなさえずりが聞かれるようになるそうで,今年はまだ厳しい寒さが続いておりミソサザイも地鳴きのままです。
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