10月後半から12月にかけてヒヨドリは,林縁部の高さ10mはある広葉樹や竹林の高いところで飛び回りながら,集まってにぎやかに鳴いています。今回は,ヒヨドリの1年の行動パターン,地域性のある色々なさえずりや地鳴きなどの鳴き方を動画をまじえて紹介したいと思います。
タブノキにたたずむヒヨドリ(5月上旬) |
ヒヨドリ(鵯)
ヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis amaurotis)は,英名でJapanese Brown-eared Bulbul。学名の最後尾のamaurotisは亜種で,サハリン南部から日本列島各地に分布し,他に日本の島嶼部に7亜種ほどいます。ヒヨドリ属(Hypsipetes)は世界に19種ほど知られ,そのうちBrown-eared Bulbul「褐色の耳をもったヒヨドリ」が本種になります。Bulbulと呼ばれるヒヨドリは他に,ヒヨドリ科に属するシロガシラ属(Pycnonotus)の32種とエリゲヒヨドリ属(Tricholestes)の1種が含まれます。
次の動画は,春から冬までの14種類のヒヨドリの地鳴きとさえずりをまとめたものです。
ヒヨドリの山での生活の記録
今年も5月に入ってから繁殖行動のため,オスどうしが存在感をアピールするようになり,争いが激化しかなり緊迫してきます。
6月には,無事にヒナが何羽か産まれたようで,ヒヨドリのメスばかりではなくオスも子育てに追われています。
というのも,ヒナが産まれてからどういうわけか,さえずり方のバリエーションが豊富になります。縄張りを死守しつつ虫をくわえながらさえずっている時は,本来のさえずり方と比較して変になまっています。
昆虫をくわえているヒヨドリ(6月中旬) |
たとえば,何かくわえている時は“ホウトクチュイ” と本来さえずるはずが“ホウトクチューイー”に変化したり,“プヒューリー” に変わったりします。さえずりの言語表記は独自のものですので参考までに。鳴き方には意味があると思いますが解明できません。
ナンテンの木にとまるヒヨドリ(6月中旬) |
8月から10月の暑い間,鳴き声は,あまりしなくなりますので,おそらく標高の高い山地や沢などの涼しい所で過ごしているのでしょう。
10月後半になると,今年産まれた若鳥やその親世代のヒヨドリがたくさん集まって高い木や竹林の上のほうで集会のようなものが始まりました。地鳴きやさえずりの練習と思われます。それからというものすごくにぎやかです。
最初の頃は,かなり下手でとてもヒヨドリとは思えない鳴き声ですが12月も終わりになると少し上達してきました。大勢で競って鳴く練習をしているようです。来年4月まで,山でヒヨドリたちのにぎやかな声が聴けると思います。
1羽だけ離れて見張り役をするヒヨドリ(12/30) |
庭を訪れるヒヨドリ
年が明け1月くらいから,どういうわけかヒヨドリが庭を訪れるようになります。下関市に渡ってきた冬鳥の分布がピークになり,ニッチの重複で争いを避けるためなのか,庭のマンリョウの赤い実やサザンカの花の蜜を目当てに飛来します。
池で水浴びをしたり採餌をしています。冬は乾燥して肌がカサカサしてかゆみが出るのが原因なのか,周囲を警戒しながら池に飛び込んでは石の上に止まり・・・を何度も繰り返します。5回以上はやっているようですが,水が冷たいというのもあるかもしれません。
下の写真が,そのときのものです。
池で水浴びをしたヒヨドリ(1月下旬) |
偵察をするヒヨドリ(3月下旬) |
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