2018/03/25

本州でぞくぞくと観察されはじめている大型の鴨:ツクシガモ(下関市)

 

冬期にシベリアから越冬のために中国南東部,九州北部などに渡りをするツクシガモ(筑紫鴨)が下関市南部の亀浜干潟や千鳥浜干潟で今年2月から3月にかけて1個体のみ観察されました。ツクシガモは,国内においては筑紫(有明海~福岡県北部沿岸)に主に飛来する大型のカモで本州では少ないようです。今回は,ツクシガモを紹介します。

 

写真_野鳥
マガモの群れに混じるツクシガモ(2018/3/10)
 



ツクシガモ(筑紫鴨)


ツクシガモTadorna tadorna)は,英名で Common Shelduck。ツクシガモはフランスの大西洋沿岸部にも生息しており,Tadornaはツクシガモのフランス語での呼び名が学名になったということです。Shelduckの語源は,既に廃語となっているsheldという単語とdrakeを併せた語「sheldrake」にあり,直訳すると「雑色(まだら染め)の雄ガモ」という意味になります。19世紀後半までsheldrakeという語が普通に用いられていましたが,実はオス・メスともに同じ色調・模様でdrakeを用いるのが一般的ではなくなったため英名でShelduckとなったようです。国や都市,船,車などは英語で女性名詞扱いをしますので,鳥に関しても同様だと考えられます。


写真_野鳥
オナガガモと行動を共にするツクシガモ(2018/2/4)


撮影した写真では残念ながらツクシガモの頭部の特徴がわかりませんが,赤いクチバシをもち額にまで伸びる赤いコブがあり,オスのみ繁殖期にコブが肥大するということです。クイナ科のバンやオオバンにみられる額板がなぜあるのか疑問に思っていましたが,ここでその役割が繁殖と関係している可能性が浮上しました。


干潟は立ち入り禁止になっているので近くまで行けず,以上の写真は堤防から撮影したものです。ツクシガモは中国地方以東では昔は珍しかったようですが,日本野鳥の会のHPを見ると大阪を中心に千葉辺りまで確認されており,北海道の例に至っては帰還できずに他のカモの群れと一緒に行動せざるを得なくなった個体なのかもしれません。

マガモやオナガガモと全長はあまり変わらないのですが,写真でもわかるようにオナガガモは尾羽の長さでサイズを稼いでいるとはいえ,ツクシガモはマガモよりも体格が大きい個体が多いのかもしれません。













































































































































































































































































































































































































































































































































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