山に入ると林下にヒサカキの低木がよく見られます。山口県でも,お墓参りの際に小菊などの花と一緒にお供えする「シバ」として使われます。今回は,黒く小さな実を生らせるヒサカキについて様々な話題をまじえて解説したいと思います。
ヒサカキの花(3月中旬) |
ヒサカキ(姫榊)
ヒサカキは,本州以南や中国東部などに分布するモッコク科ヒサカキ属の常緑広葉樹で,学名はEurya japonica Thunberg, 1783。英名でEast Asian eurya。ヒサカキ属は世界に約70種ほど知られています。属名のEuryaは,広いという意味のギリシャ語「eurus」に由来し,これを女性名詞としたものです。「japonica」は「japon」(日本)と「-icum」の女性形接尾辞で「日本に属する」という意味になります。
ヒサカキの葉と花のつぼみ(11月下旬) |
葉腋から生じたヒサカキの花(3月中旬) |
ヒサカキの実は,サカキの黒い実によく似ており,ジョウビタキなどの小鳥に採餌されているのを見かけます。
ヒサカキの液果(11月下旬) |
ヒサカキの幹の樹皮(11月下旬) |
ヒサカキを供え物とする方法
ヒサカキの葉をシバとしてお供え物にするには,葉の付いた枝を60㎝ほどに切り,これを3本ほど平らに束ねて作ります。
ヒサカキ属(Eurya)はいつ頃から存在する植物?
ヒサカキ属の化石は,今から約4000万年前の新生代古第三紀の中期始新世のイングランドから報告されたEurya mudensisが世界最古級のものになります。
山口県では,今から約2600万年前の古第三紀の後期漸新世の日置層群黄波戸層からEurya sp.が報告されています。
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