2017年晩秋から冬にかけて山の栗の木にキクイタダキが群れをなしてたくさん飛来しました。キクイタダキが留鳥のメジロと混群しているのに気付かずメジロの群れと思って観察していたところ,下関市ではあまり記録のないキクイタダキの群れでした。今回は,国内最小の鳥といわれるキクイタダキについて解説したいと思います。
クリの木に飛来したキクイタダキ(11月初め) |
キクイタダキ(菊戴)
キクイタダキ(Regulus regulus japonensis Blakiston, 1862 )は,英名でGoldcrest。
キクイタダキとだけ聞くと,木を食べるタダキという鳥?
と勘違いしそうな名前ですが,漢字で書くと頭の上に菊を戴(いただ)いていると書いて菊戴です。確かに頭の上に1枚の黄色い菊の花びらのような冠羽があって,英語でGoldcrest(黄金の王冠)と呼ばれているのも納得できます。
栗の枝を飛び移るキクイタダキ |
国内で最も軽くて小さい鳥
葉のサイズが15㎝くらいですので,その小ささがわかると思います。全長が10㎝くらいで,ミソサザイと同じくらいの大きさです。
あたかもクリの葉に似せたような迷彩柄のキクイタダキ |
頭の上に黄色い菊の花弁のような模様のあるキクイタダキ |
今年10月末から12月にかけてキクイタダキの群れが四王司山塊にある栗の木で観察され,中国北東部~ロシア極東,北海道といった冷涼な地域で繁殖するそうですので本州には越冬のために北方から渡って来たようです。初めて見る鳥でしたので近年少し気候が変わってきたのではないかと懸念されます。
キクイタダキの飛来した栗の木をくまなく観察してみるとクリミガという栗の実を食害する蛾の幼虫や,ヒメクダマキモドキというバッタの仲間が繁殖し木にはたくさんの卵が産みつけられていました。
クリミガの幼虫 |
ヒメクダマキモドキの卵 |
キクイタダキはヒメクダマキモドキの越冬卵や蛾の幼虫などを食べに飛来したものと考えられます。キクイタダキは1本の木の中でも,上の方の葉の茂った外側を飛び回ってよく採餌しています。
この話はよく知られたことですが,小鳥の餌場の使い分けを示す良い例です。他の鳥の例を挙げると,ヒガラなどは,キクイタダキと同じ木の上半分の枝葉が茂る場所で,ルリビタキは下半分の日陰で葉があまり茂らない場所によくいるということです。
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