2020/02/16

関門海峡に棲息するガザミ属のワタリガニ;食用にされるタイワンガザミとは


関門海峡に棲息するタイワンガザミは,下関市でもガザミとともにワタリガニ(渡り蟹)と呼ばれ冬場には水炊きなどで食用にされますが,甲幅は15㎝以下と15㎝以上の大型のガザミよりも小振りです。今回はタイワンガザミについて解説したいと思います。


写真_カニ
関門海峡に棲息するタイワンガザミ(2月中旬)



タイワンガザミ(台湾蝤蛑)


タイワンガザミPortunus armatus)は,英名でSwimming blue crab。浅海に棲息し泳ぐことができるカニで“ワタリガニ”と呼ばれ,瀬戸内ではこのワタリガニが多いようです。


写真_カニ
青みの強いタイワンガザミのオス個体(2月中旬)



写真_カニ
タイワンガザミのメス個体(2月中旬)



写真_カニ
タイワンガザミのメスの顔面


カニの甲羅の両側には,ハサミと泳ぐための足を含めて5対の脚があり,前から2~4番目の足で海底を歩き,一番後ろ側の第5脚にあるヒレで海中で推進力を得て他の甲殻類を追いかけハサミで捕らえ採食します。鉗脚(ハサミ)の基部側に3本しかトゲがない点でガザミと識別できます。


ガザミ属はいつごろからいる?

ガザミ属の化石で最古級のものは,古第三紀始新世のアメリカ,フロリダ州中期始新世Avon Park層やパキスタンの中期始新世Lutetian期のDomanda層からPortunus sp.として報告されています。

中期始新世のLutetian期(約4780万-4130万年前)は山口県でいうと宇部層群の地層が堆積した時代になります。宇部層群は熱帯から亜熱帯性の気候で現在よりも温暖な時期の河川ないし沼沢地,浅海などに堆積した石炭を挟む地層ですので,地球規模で暖かい時期であったことがわかります。



























































































































































































































































































































































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