林縁部でたまにみられるヤマガラ(山雀)を紹介したいと思います。ヤマガラは平地ではあまり見られない鳥ですが,住宅地でよくみかけるシジュウカラの警戒声に似た鳴き方をするため,「シジュウカラが来ている」と間違えるといったこともよくあります。
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四王司山山麓林縁部を訪れたヤマガラ(3月中旬) |
ヤマガラ(山雀)
ヤマガラ(Sittiparus varius varius)は,英名でVaried tit。近年までシジュウカラの属するシジュウカラ属(Parus)に収容されていた種になりますが,分子系統学的研究が進み2013年にヤマガラ属(Sittiparus)に移されました。 「Sitti」は「オウム類のようにコントラストのある対照的な色をもった」という意味で,「parus」はラテン語でシジュウカラ科の小鳥(tit)を意味します。「sitti」はPsittacosaurus(プシッタコサウルス)にも使われていて,この場合「(角竜類に共通する)オウム類のようなクチバシを持った恐竜」という意味だと考えられます。ヤマガラのクチバシは,オウムのような内側に湾曲したクチバシではなく,まっすぐ突き出しています。
日本にいるヤマガラは6亜種に分かれていてSittiparus varius variusが中国東北部,サハリンから日本の本土にかけて分布し,あまり出会わないため渡り鳥と勘違いしそうですが,島嶼部に固有亜種が多いことから移動がほとんどない留鳥になります。
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柿の木に降り立ったヤマガラ(3月中旬) |
シジュウカラは名前のとおり「ジュウ・ジュウ・ジュウ・ジュウ」と4回警戒声を上げるのが普通ですが,ヤマガラは「ジュウ・ジュウ」と2回か3回になります。ゴジュウカラはシジュウカラ科の鳥ではなくゴジュウカラ科に属し,鳴き声も変わっています。
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ナンテンの木の陰からこちらの様子を伺うヤマガラ(3月中旬) |
上の写真のように,ヤマガラはイエネコのような愛嬌のある顔や色合いをしていて,出会うと癒されるタイプの小鳥です。
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木についた虫をついばむヤマガラ(3月中旬) |
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敵や獲物がいないかと木の上から見下ろすヤマガラ(3月中旬) |
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木から飛びたとうとしているヤマガラ(3月中旬) |
ヤマガラは,夏の長雨の降る時期に山から出て平地部にある宅地まで飛んでくることがあります。
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