2021/08/13

オオゴマダラエダシャク;黒と黄色の体色で白い翅に淡い黒色の円盤状の斑紋をもつ大型のシャク蛾


春から秋口にかけて柿の木のまわりをウメエダシャクよりも切れよく飛んでいる白黒の翅をもつ大きな蛾が見られます。この蛾はオオゴマダラエダシャクで,ウメエダシャクとともに果樹の葉を採餌するシャクトリムシとして知られています。7月にとまっている姿を撮影できたので写真とともに解説してみたいと思います。

写真_昆虫
オオゴマダラエダシャク(7月末)



オオゴマダラエダシャク(大胡麻斑枝尺)

オオゴマダラエダシャクは,学名でParapercnia giraffata (Guenée, 1857)。チョウ目シャクガ科エダシャク亜科パラペルクニア属に属する蛾で,英名ではシャクガ科の蛾という意味でGeometer mothsを用いることがあります。Parapercniaは,Percnia(Guenée, 1858)の亜属とされた文献もありますが,現在はInoue(1992)によって属レベルに移されています。Parapercniaは,ギリシャ語で「perknos」(暗い色をした)に「Para-」(~に似た)を付けた複合語で,「-ia」でラテン語化された語となっています。スズキ目に属する魚は英語でperch(パーチ)といいますが,これも語源が同じです。
Parapercnia属は,Percnia属と外見的特徴は類似しているものの生殖器の構造が異なっており,むしろOphthalmitis属のものと共通していることが明らかにされ,今年,2021年にOphthalmitis属がParapercnia属に属すると分子系統学的に結論づけられ,Parapercnia属の下位同物異名(junior synonym)とすることが提案されています。

写真_昆虫
イヌホウズキにとまるオオゴマダラエダシャク(7月末)

種名の「giraffata」は,フランスの昆虫学者Achille Guenéeによって命名されていますが,フランス語「girafe」(キリン)ではなくキリンの属名となっているイタリア語「giraffa」を使用しています。イタリア語が使われたのはラテン語の起源がイタリア半島にあるからでしょう。これに「-atum」(~に類似した)の女性形接尾辞「-ata」がついて「キリンに似た」という意味をもちます。次の写真は拡大したものですが,オオゴマダラエダシャクの翅を除く部分がキリンの長い首から上の姿に良く似ています。

写真_昆虫
キリンの首から頭部のような模様を呈するオオゴマダラエダシャク


オオゴマダラエダシャクは,中国では巨星尺蛾や柿星尺蛾と呼ばれ幼虫が柿の葉につく蛾として認識されています。柿の木の周辺でよく目撃されるのはそのためでしょう。

シャクガ科の化石は中生代の後期白亜紀の地層から産出しています。詳細
















































































































































































































































































































































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