イチジクの木にとまるキボシカミキリのオス(10月中旬) |
キボシカミキリ(黄星髪切;黄星天牛)
キボシカミキリは,学名がPsacothea hilaris(サコティア・ハイラリス)。 英名は,Yellow-spotted Longicorn beetleで和名と意味的には同じです。体長25-30mmほどのカミキリムシで,黒地に黄色の斑点模様と長い触角をもっていて,ゴマダラカミキリよりもスリムな体形が特徴的です。オス個体で,触角は体長25㎜で70㎜ほどの長さ(体長の約3倍の長さ)になりますが,メス個体では下の写真のように約2倍ということで短いため雄雌の識別が容易です。
クワの木にとまるキボシカミキリのメス(7月下旬)。 |
甲虫類はすべて,卵,幼虫,蛹,成虫というライフサイクルをもっていますので,キボシカミキリは木の幹や枝の中で蛹化する完全変態をする昆虫です。キボシカミキリの成虫はクワ科の桑やイチジクの樹皮・葉を好んで食べています。次の写真がキボシカミキリによる食害痕です。
キボシカミキリのメスによるクワの葉の採餌痕(7月下旬)。 |
あるメス個体は,同じ木に半月くらい止まったまま葉を食べて生活しているのが見られたことがありますので,おそらく他の木に移動しないままオスを待ち続けて一生を終えるといったこともあるでしょう。
キボシカミキリの幼虫の生態
木の中にいるカミキリムシの幼虫は,テッポウムシ(鉄砲虫)とも呼ばれますが,キボシカミキリの幼虫が枝や幹の木部の中心部を食い進んでいくと長いトンネルができます。
これこそまさに鉄砲の弾丸の通る銃身のようです。
キボシカミキリの幼虫によってできたイチジクの木の内部の空洞(10月中旬) |
弾丸がカミキリムシの幼虫ということでしょう。
イチジクの枝にたまったキボシカミキリ幼虫の糞塊。 |
テッポウムシの移動の仕方
小孔の間隔は,およそ20㎝程度で,蛹になるまでに60㎝以上のトンネルを掘ります。テッポウムシは,一般的に,胸部の歩脚や,腹部の疣足(いぼあし)がないことが知られていますが,枝や幹につくったトンネルの中でどのように動き回っているのでしょうか。
キボシカミキリの幼虫の下面。 |
実は,幼虫の腹部の各環節の上下に吸盤状のものが備わっていて,トンネルの壁面に吸い付きながら器用に移動します。 次の動画を見れば一目瞭然です。
キボシカミキリの成虫と幼虫
キボシカミキリは,なかなか魅力的なカミキリムシです。
成虫の寿命はひと月ほどです。イチジクやクワ(マルベリー)などの果樹に止まっていることがありますが,これまでの被害への報復として無理やり引きはがしてあやめてしまう方もおられるでしょう。他の動物からしてみれば意味の解しがたい恐ろしい行動です。昆虫も小さいだけで感情もあり,霊媒ともなる神聖な生き物ですので,ここは1度立ち止まって考えてみたいところですね。
マルベリーは,生のまま食べられますが,ジャムにするとラズベリーのような食感で冷蔵庫に3~4年くらい置くと食べにくい種も食べやすくなります。
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