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2022/08/28

周南期前半の変動における背斜褶曲に伴う衝上断層;恐竜化石を産する関門層群の堆積後まもなく形成,下関市・・・後期白亜紀初頭に顕著だった南北圧縮応力場がなければ豊浦・豊西層群は広く露出しなかった可能性!?

 

恐竜が闊歩した中生代白亜紀のこの地殻変動(周南期変動)がなければ日本では数少ないジュラ紀から前期白亜紀にわたる地層である豊浦層群・豊西層群は地表に広く露出せず地下で消失していたと考えられる変動の痕跡が観察される露頭を写真で紹介します。これは阿内地域の豊浦層群に属する阿内層(ジュラ紀)の中にあり,関門層群の堆積後の南北圧縮応力下で背斜褶曲に伴って形成されたと考えられる衝上断層になります。衝上断層の形成当時の造構環境と形成メカニズムについて解説します。

写真_地層
阿内層内の衝上断層(阿内高地橋の北)


2021/05/02

豊関広域農道(グリーンロード)の施工時の法面露頭と採取された化石(豊浦層群・豊西層群)


1998年から2006年頃まで豊関広域農道(グリーンロード)施工とその近傍の道路整備があり,豊浦層群歌野層・阿内層,豊西層群清末層・吉母層,関門層群脇野亜層群,長府花崗岩といった中生代の地層群・岩体が道路法面やトンネルとして大規模に掘削されました。2002年頃までには法面掘削で中期~後期ジュラ紀の地層である歌野層や阿内層・清末層などから多くの植物化石が産出していますが,法面施工とともに掘削岩塊は間もなく取り除かれ化石産地は失われました。複数の方からの情報では,歌野層からイノセラムスやアンモナイトといった動物化石も産出したとのことでした。


写真_豊関トンネル
豊関トンネルの北口の道路工事現場を撮影

2020/11/14

山口県のジュラ系豊浦層群阿内層から産出した2種のトクサ化石と現生トクサ


トクサ(砥草)といえば紙やすりの代用として伝統工芸品などの製作に使用されたり爪を研ぎ金属を磨くこともできます。
山口県のトリアス紀~ジュラ紀の地層からはトクサ類の化石が産出します。今回は,下関市の豊浦層群阿内層(Bathonian期末~前期Kimmeridgian期)の中で中期ジュラ紀末~後期ジュラ紀の層準から見つかったカセキトクサの化石について色々なエピソードを交えて解説してみたいと思います。


現生のトクサEquisetum hyemale(07/05撮影)


2018/03/11

本邦のジュラ紀のキカデオイデア類(Jurassic cycadeoids Dictyozamites from the Ohchi Formation of the Toyora Group in southwest Japan)


山口県下関市に分布するジュラ紀の豊浦層群は,現在,下位から東長野層,西中山層,歌野層,阿内層の4つの地層
から構成されます。中生代には,コケ類,シダ類,シダ種子類,ソテツ類,ベネチテス類,イチョウ類,および針葉樹類など現在の日本とはかなり変わった植物相がみられました。未だ文献にも載っていないような奇異な形態の植物化石も出ます。それは,時代が古いからというだけでなく,現在の日本の気候よりも温暖で,中生代に絶滅したタクサが含まれているからです。
今回は,豊浦層群阿内層から産出した絶滅植物キカデオイデア類Dictyozamitesの化石について,いろいろと余談を交えて解説します。

2017/10/21

ジュラ系豊浦層群阿内層の生物擾乱泥岩を構成するPhycosiphon cf. incertum 単一相(Phycosiphon found from the Jurassic Ohchi Formation of the Toyora Group, Japan)


豊浦層群は海で堆積した泥や砂,礫,火山灰などからなるジュラ紀の堆積物が固結した地層で,下位から東長野層,西中山層,歌野層,阿内層の順に累重しています。今回は,豊浦層群の最も上部に位置する阿内層のPhycosiphon cf. incertumを含む生物擾乱泥岩を紹介します。

2017/09/17

本邦のジュラ紀の豊浦層群阿内層産イチョウ化石および現生イチョウ類の葉について(Jurassic and living ginkgoalean leaves in Japan)


日本に生育していたイチョウは,更新世の氷期の間に絶滅してしまったといわれており,現在,国内にみられるイチョウは,中国から渡来したものだとされています。
今回は,豊浦層群の阿内層から産出する後期ジュラ紀のイチョウ化石について解説してみたいと思います。



2017年4月半ば,イチョウの枝から若葉が芽吹いてくる
春になって芽吹いてきたイチョウ葉(4/15撮影)


2017/09/02

豊浦層群阿内層の模式地の中尾における歌野層/阿内層境界の露頭周辺の状況(The boundary locarity between the Utano and the Ohchi formations of the Toyora Group)


豊浦層群は,今から約2億~1億5500万年前の前期~後期ジュラ紀に,主として海に堆積した堆積物で、下位より前期ジュラ紀の東長野層,西中山層,中期ジュラ紀の歌野層,中期ジュラ紀末‐後期ジュラ紀の阿内層の4層に区分され,ジュラ紀末期~白亜紀初期の豊西層群に不整合に覆われています。この豊浦・豊西両層群の関係は,飛騨地域の手取累層群の九頭竜層群・石徹白層群の関係とよく符合しています。今回は,この阿内層とその下位の歌野層との境界に関するエピソードについて,色々な余談を織り交ぜながら解説してみたいと思います。

2017/05/07

上部ジュラ系豊浦層群阿内層から産出した栃窪層の種と酷似する球果類の葉条Elatocladus(Elatocladus leafy shoots from the Ohchi Formation of the Jurassic Toyora Group)


豊浦層群は,主に内海の海成層からなり,岩相的特徴から4層に区分されていて,下のほうから東長野層,西中山層,歌野層,阿内層の順に重なっています。阿内層(おうちそう)からは,多種多様な針葉樹類の葉や葉条が産出します。その中で最も多種多様なのがElatocladus属です。
今回は,栃窪層の種とよく似た阿内層産のElatocladus sp.の標本の1つを紹介したいと思います。






2017/03/18

ジュラ系豊浦層群阿内層から産出した球果目Elatocladusの枝葉(A Jurassic Elatocladus shoot derived from the Ohchi Formation of the Toyora Group, southwest Japan)


後期ジュラ紀の時代は,現在よりも温暖な気候で多種多様な針葉樹が繁茂していました。
今回は,豊浦層群の最上部を占める阿内層(おうちそう)から産出した後期ジュラ紀の針葉樹類の枝葉の化石の1つを紹介したいと思います。



2015/08/09

かつて豊浦層群西中山層・東長野層とされた植物化石産地が阿内層に所属変更;山口博物館HPの阿内産のクラドフレビスの層準は?


ジュラ紀の豊浦層群は従来,東長野層,西中山層,歌野層に区分されていましたが,2010年に本層群の最上部が阿内層(おうちそう)として再区分されました。その際,かつて西中山層や東長野層だったエリアが一部,阿内層に変更され,木村達明氏らにより歌野層・西中山層産として同定・記載された植物化石が阿内層産に変わりました。
これらは論文に記載があってもなかなか人が気が付かない事柄です。今回は,この産地の見過ごされがちな様々な事情について解説したいと思います。

2015/03/19

山口県下関市のジュラ紀の弧間構造盆の内海相堆積物,豊浦層群の概要(Geology of the Jurassic Toyora Group in Yamaguchi, Japan)


山口県西部の下関市の南部に分布するジュラ紀の弧間構造盆堆積物の豊浦層群と,本層群に属する堆積岩類からなる4つの層単元の地層についての概要を以下に説明します。